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川相昌弘コーチと荒木雅博選手(プロ野球)

今回からスポーツ雑誌「Number」のバックナンバーで、個人的に印象に残った記事をとりあげてみる。

今回は2006年3/2号に掲載されていた川相昌弘選手(現中日ドラゴンズコーチ)の特集記事から。川相選手、荒木雅博選手、スポーツライターの高山文彦氏の3人での野球談義の場面。守備の際、ダブルプレーに関して(以下、原文のまま抜粋)、

「そう、荒木がゲッツーを取ろうとして、暴投して、ランナーを生かしてしまうケースがけっこうあったんですよ」

川相はジャーナリストを見て、つづけた。

「動きすぎていたんです。いま荒木はセカンドを守っているけど、もともとはショートです。自分もショートを守っていたから分かるんだけど、ショートというのはダブルプレーをとるとき、ランナーを視界にとらえることができる。それで距離感もはかれるし、送球もしやすいんです。ところがセカンドに移ったら、まるで状況が違う。6-4-3とか5-4-3のダブルプレーの場合、ファーストから走ってくるランナーを視界にとらえにくい。背後から走ってくる場合がほとんどです。ランナーに潰されたくない。打者走者もファーストでアウトにしたい。だから動いてしまうんです。荒木はセカンドベースを踏んだあと、ランナーに潰されまいとしてファーストに投げていた。体の軸がぶれる。それで暴投してしまう」

「川相さんは送球するとき、ベースから離れないんですよ」(荒木選手)

「プロにはいってしばらく、当時レギュラーだった篠塚さんの動きをずっと見ていたんですよ。篠塚さんはゲッツーをとるとき、ほとんどセカンドベースから動かないで投げる。すると送球がぶれないんです」(川相選手)

野球を知らないジャーナリストが、どういうことか、とたずねた。川相は辛抱強くこたえた。

「セカンドの選手がベースから離れて投げようとすると、かえってランナーは潰しやすくなるんですよ。ベースの上から投げたほうが、ランナーからすると潰せそうで潰せないんです。人間の本能として、相手が動くほうに反射的に動きたくなる。セカンドが動いたら、ランナーは潰そうとしてそちらに滑り込もうとする。セカンドは更に避けようとする。それで体が大きく泳いでしまう。送球がぶれる…。ベースから離れずに投げるほうが理に適ってるんです」

川相は荒木を見て、

「僕が口で教えたわけじゃないんですよ。ドラゴンズに来て初めての春のキャンプで、荒木と一緒にゲッツーの練習をしている時、彼のほうから気づいて言ってきたんですよ。川相さん、ベースの上から動かないですねって」

「あの時、監督も言ってくれたんですよ。動かないほうがいいよって」

「落合さんもセカンド守ってたからな」
by wataridori21 | 2007-05-03 02:46


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